製造業・食品 関係構築型 事業転換型 No.10
三方よしの価格設定と対面交渉で販路を拡大
非公開(酒・ビール製造)
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費・エネルギー・光熱費・物流費・運賃
交渉手法
関係構築型・事業転換型
活用ツール・支援機関
マージン率見直し・対面交渉
三方よしマージン見直し対面交渉
当時の課題
- 酒米やホップなどの原料費、エネルギー価格、物流コストが軒並み高騰。
- 自社努力だけではまかないきれず、将来の事業継続と品質維持のために価格改定を迫られていた。
取組概要
- 単に自社利益のために価格を引き上げるのではなく、マージン率の抜本的な見直しを実施。
- 卸問屋や酒販店といった取引先の利益が従来よりも多くなるような単価を設定しパートナーとして継続的に販売を支えていただけるよう依頼。
- 利益率の高い自社直売店での販売にも注力。
- 取引先とはできる限り直接足を運んで現状を伝え、誠実な姿勢で信頼関係を構築。
成果概要
- 誠実な姿勢が評価され、既存の取引強化だけでなく新たな販路の開拓も実現。
- 社内でもコストに対する意識が共有され、製造現場から営業まで「無駄を徹底的に排除する」という共通認識が醸成。
副次効果
販路拡大・コスト意識醸成
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
酒・飲料製造業で、原料費・エネルギー・物流が同時に上がり、しかも「値上げしたら取引先が離れる」という恐怖で身動きが取れなくなっている方に、読んでほしい事例です。
この事例が示す発想の転換は、「自社の利益のために値上げする」という視点を手放したことです。取引先である卸問屋や酒販店の利益が従来より増えるようなマージン設定を行い、パートナーとして共に成長する構造を設計した。価格転嫁を「コスト転嫁」ではなく「関係再構築の機会」として捉えたことが、相手の共感を生みました。
既存取引の強化だけでなく新たな販路開拓につながったという成果は、誠実な姿勢が取引先に評価された証拠です。値上げが関係を壊すのではなく、価格の透明性と相手への敬意が関係を深めることをこの事例は示しています。
「三方よし」の発想は抽象的に聞こえますが、実践するには取引先の利益構造を理解することが必要です。相手が何で利益を出しているかを知ることが、自社の価格改定が相手にとっても意味あるものになる設計の出発点になります。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →