製造業・機械部品(事業協同組合) データ提示型 関係構築型 No.101
共同受注事業による組合ぐるみの価格転嫁
A社(事業協同組合(機械部品の共同受注事業))
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費・人件費・労務費
交渉手法
データ提示型・関係構築型
活用ツール・支援機関
福島県中小企業団体中央会
共同受注/事業協同組合/顧客管理/定期訪問
当時の課題
- 組合員企業が個別に価格交渉するには交渉力が不足。
- 大手発注先との取引で価格転嫁が困難。
取組概要
- 製造業50社が組織する事業協同組合で共同受注事業を実施。
- 顧客管理ソフトで過去の受注状況(金額・物量・頻度)を把握しバックデータとして活用。
- 組合員から物価上昇の定量データを収集し見積書に反映。
- 営業職員が定期訪問で取引先と信頼関係を構築。
成果概要
- 発注先の要請額にほぼ近い金額での価格転嫁を実現。
副次効果
組合としての交渉力強化・定期訪問による信頼関係構築
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
機械部品製造業の事業協同組合に加盟している、または加盟を検討している経営者に読んでほしい事例です。50社が組織する事業協同組合での共同受注事業が、個社では難しかった大手発注先との価格転嫁を実現しました。
「個社では交渉力が不足する」という構造的な弱さは、組合という形で克服できます。50社が束になって交渉に臨む場合、発注先にとっての「取引相手の規模感」が変わります。個社なら「断られたら他を探せる」と判断できる発注先も、50社の組合が交渉相手であれば、簡単に断れない重みが生まれます。連帯による交渉力の増幅が、この事例の基本構造です。
顧客管理ソフトで過去の受注状況を把握してバックデータとして活用した点も重要です。「今まで○円で○万個注文してもらっている」という取引の歴史を数字で示すことで、「信頼できる長期パートナー」としての立場を明確化できます。過去の取引実績は、価格交渉における関係性の「証拠」として機能します。
組合員から物価上昇の定量データを収集し見積書に反映したという点も参考になります。組合内での情報共有によって、個社が把握できない幅広いコストデータが集まります。情報の集約が、交渉資料の充実度を高め、説得力ある価格改定の根拠を作ります。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →