【労務費】賃金改善分獲得額から物価上昇分を除外し、売上比率で按分して一時金精算
非公開(プレス加工/溶接/組立業)
この事例のポイント
コスト上昇要因
人件費・労務費
交渉手法
データ提示型
活用ツール・支援機関
JAPIA(日本自動車部品工業会)
定量的な成果
月額216千円(半期分)を一時金精算
当時の課題
- 仕入先から労務費に関する情報を入手できず、公表データから転嫁額を算定する必要があった。
取組概要
- 自動車総連の賃金改善分獲得額4,379円から物価上昇分1,000円を除外し転嫁対象を査定。
- 仕入先の総売上高に対する当社向け売上比率10.3%で按分し、当社負担額(月額36千円×6ヶ月)を一時金として遡及精算。
成果概要
- 公表データに基づく算定式で合意し、一時金として遡及精算を実現。
副次効果
公表データのみで労務費転嫁を算定できるモデルの確立
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
自動車関連製造業(下請)で、仕入先の労務費情報を入手できない状況で適正な転嫁額をどう算定すべきか悩んでいる発注側企業の経営者に読んでほしい事例です。公表データだけを使って転嫁額を算定し、一時金として遡及精算した精緻な計算手法が参考になります。
この事例のポイントは、「仕入先の実際のデータがなくても、公表データで算定できる」という実証です。自動車総連の賃金改善分獲得額という業界団体のデータを活用し、物価上昇分を除外した上で転嫁対象を特定するという手順は、算定の透明性と合理性を担保します。公表データを根拠にした算定式は、発注側・受注側双方が「その計算なら納得できる」という合意形成を助けます。
売上比率で按分するという方法も、実務的に重要な考え方です。仕入先の全売上高の中で当社向け売上が占める割合が10.3%であれば、労務費上昇の負担も10.3%相当を当社が担うという論理は、シンプルかつ公平です。負担割合を「受益割合に応じて設定する」という原則が、双方の納得感を高めます。
遡及精算という方法は、過去に認識しながら未処理だったコスト上昇を清算する手段として有効です。「今後の価格に反映する」だけでなく、「過去の未転嫁分を一時金で解消する」という選択肢があることを知っておくことで、交渉の幅が広がります。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →