製造業・プレス加工 データ提示型 制度活用型 No.105

【労務費】消費者物価指数と公取委の労務費率を用いて製品単価に反映

非公開(プレス加工業)

この事例のポイント

コスト上昇要因

人件費・労務費

交渉手法

データ提示型・制度活用型

活用ツール・支援機関

JAPIA(日本自動車部品工業会)

定量的な成果

製品単価1.04%UP(500円→505.2円)

労務費/CPI/公取委労務費率/製品単価反映

出典より

JAPIA 価格転嫁事例集(労務費) ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 仕入先から労務費情報を入手できない中、公表データのみで製品単価への転嫁方法を確立する必要があった。

取組概要

  • 消費者物価指数の上昇率3.2%を賃上げ率として採用。
  • 公正取引委員会公表の業種名別労務費率32.5%を適用し、売上100億円×労務費率32.5%×CPI上昇率3.2%=1.04億円を転嫁対象総額に。
  • 売上比率50%で按分し0.52億円を算出、製品単価に反映(例:500円→505.2円、値上げ率1.04%)。

成果概要

  • 情報入手不可でもCPIと公取委労務費率で製品単価への転嫁を実現。

副次効果

情報なしでも公表データのみで算定可能なフレームワーク確立

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

製造業(プレス加工)で、仕入先から労務費情報を入手できない状況で適正な転嫁額を算定したい発注側企業の経営者に読んでほしい事例です。消費者物価指数と公正取引委員会公表の業種別労務費率という、二つの公表データだけで算定できる実践的な計算式が参考になります。

「仕入先が情報を開示しない」という状況は、発注側にとって頭の痛い問題です。しかしこの事例は、消費者物価指数(賃上げ率の代理指標)と公取委の業種名別労務費率(労務費の業種別比率)という二つの公表データを組み合わせれば、仕入先の実際データなしに合理的な転嫁額を算定できることを示しています。

この計算式の優れた点は、誰でも確認できる公表データだけを使うことで、「この算定は妥当だ」という合意形成が容易になることです。仕入先が「うちのデータと違う」と言っても、「では実際のデータを教えてください」という返しができます。公表データ基準の算定は、情報開示を促す機能も持ちます。

製品単価1.04%という一見小幅な改定も、スケールによっては大きな金額になります。売上100億円規模では、1.04%で1億円超の転嫁額になります。「小さな%」という認識が交渉を先送りさせることがありますが、規模に応じた金額で考えることが、行動の動機を生みます。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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