製造業・プレス加工 データ提示型 No.106
【労務費】消費者物価指数3.1%をベースアップ分と判断し、加工費単価に2.0%反映
非公開(プレス加工業)
この事例のポイント
コスト上昇要因
人件費・労務費
交渉手法
データ提示型
活用ツール・支援機関
JAPIA(日本自動車部品工業会)
定量的な成果
加工費単価2.0%UP、品番別に個別算定
労務費/CPI/加工費単価/品番別工数按分
当時の課題
- 労務費総額10億円/年の仕入先に対し、ベースアップ分の転嫁方法を確立する必要があった。
取組概要
- 消費者物価指数の前々年→前年の伸び率3.1%をベースアップ分に相当すると判断。
- 労務費総額10億円×CPI上昇率3.1%=31,000千円を転嫁対象に。
- 当社向け売上比率50%で按分し15,500千円を算出。
- 加工費総額65,600千円/月に対する値上げ率2.0%として加工費単価に反映。
- 品番別に工数按分して個別単価を算定。
成果概要
- 品番別の工数按分まで落とし込んだ精緻な加工費単価への転嫁を実現。
副次効果
品番別の工数按分による精緻な加工費転嫁モデル
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
プレス加工業で、消費者物価指数を活用した労務費転嫁の計算方法を探している発注側企業の経営者に読んでほしい事例です。CPI上昇率をベースアップ分と判断し、品番別の工数按分まで落とし込んだ精緻な手法が実務的な参考になります。
「消費者物価指数の前々年→前年の伸び率をベースアップ分に相当する」と判断した点は、重要な解釈の起点です。賃上げ率の実態は企業によって様々ですが、社会全体の物価水準を示すCPIをベースラインとして使うことで、「少なくともこれだけは転嫁が必要」という最低水準を客観的に設定できます。
品番別に工数按分して個別単価を算定したという精緻さも、プレス加工のような多品番生産の業種では重要です。加工費の転嫁を「全品番一律の率」ではなく「各品番の実際の工数」に応じて算定することで、工数の多い品番と少ない品番で適正な転嫁額が異なることを反映できます。実態に即した算定が、双方の公正感を高めます。
加工費総額65,600千円に対して月2.0%という転嫁率は、年間で相当の金額になります。このような詳細な計算を行うことで、「いくら転嫁が必要か」という数字の根拠が明確になり、交渉の目標値が定まります。「なんとなく上げてほしい」ではなく「この計算式でこの金額」という具体性が、合意を現実的なものにします。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →