製造業・鋳造素材加工 データ提示型 制度活用型 No.109
【労務費】最低賃金上昇率×公取委労務費率で製品単価を1.6%改訂
非公開(鋳造素材加工業)
この事例のポイント
コスト上昇要因
人件費・労務費
交渉手法
データ提示型・制度活用型
活用ツール・支援機関
JAPIA(日本自動車部品工業会)
定量的な成果
全製品一律1.6%単価改訂(550円→558.8円/kg)
労務費/最低賃金×労務費率/シンプル算式/単価一律改訂
当時の課題
- 仕入先から労務費情報を入手できず、最小限の公表データで転嫁額を算定する必要があった。
取組概要
- 仕入先所在地の最低賃金上昇率4.6%(2022→2023年)と、公正取引委員会公表の金属製品製造業の労務費率34.6%を使用。
- 製品単価の値上げ率=労務費率34.6%×賃上げ率4.6%=1.6%を算出し、全製品の単価を一律1.6%改訂(例:550円/kg→558.8円/kg)。
成果概要
- 最低賃金上昇率×労務費率のシンプルな算式で製品単価改定を実現。
副次効果
最もシンプルな労務費転嫁算定式の確立
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
鋳造素材加工業の仕入先を持つ製造業で、最低限の公表データを使った最もシンプルな労務費転嫁算定方法を探している発注側企業の経営者に読んでほしい事例です。「最低賃金上昇率×業種別労務費率」というシンプルな算式が、実務的な解として機能しています。
この事例の最大の価値は「シンプルな算式でも、合理的な転嫁は実現できる」という実証です。最低賃金上昇率4.6%×公取委の金属製品製造業労務費率34.6%=1.6%という計算は、小学生でも確認できる掛け算です。しかしこの透明性が、仕入先との「合意しやすさ」を生みます。
「情報入手不可でも」という前提は、多くの発注側企業が直面する現実です。仕入先が実際の賃金データを開示しない場合でも、最低賃金という法律で定められた公表数値と、業種別労務費率という公正取引委員会が公表するデータを使えば、「業界標準レベルの転嫁」を根拠を持って要求できます。
1.6%という転嫁率は小幅に見えますが、製品単価への直接反映(500円→505.2円)という具体的な形で合意したことが、実務的な意義を持ちます。算定式と転嫁率の合意だけでなく、「具体的な単価がいくらになるか」まで明示することで、生産現場や購買部門への展開が容易になります。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →