製造業・食品 付加価値型 事業転換型 No.11
未冷凍たらこの価値訴求とDtoC戦略でファンを獲得
K社(水産加工)
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費
交渉手法
付加価値型・事業転換型
活用ツール・支援機関
DtoC・EC・見積自動化ツール
DtoC鮮度価値市場創出
当時の課題
- 原料であるスケトウダラの価格が複合要因により大幅に上昇。
- 水産加工品市場が縮小する中、原価率の悪化を避けられず価格政策の抜本的な見直しが急務。
取組概要
- まずは商品の付加価値アップを目指し、5年間かけて「最高の美味しさをできたての状態で」という商品コンセプトを確立。
- スタッフが集中して作業できるよう製造日を固定することで労働生産性も向上。
- 販促物の強化とDX推進を戦略の柱とし、EC(DtoC)やカタログギフトなど直接お客様に届ける販路に特化。
- 見積書作成の自動化ツールを開発し商談の機会損失を低減。
成果概要
- 主力商品「だしたらこ」の販売価格を段階的に引き上げることに成功。
- 賞味期限が短いという制約を逆手に取りEC・DtoC販路に特化。
- 顧客情報を蓄積しファン化に成功。
副次効果
ファン獲得・DtoC販路確立
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
水産加工業で原料価格の大幅上昇と市場縮小が重なり、価格を上げれば売れない、据え置けば赤字という板挟みに悩んでいる方に、読んでほしい事例です。
この事例のポイントは、5年間かけて商品コンセプトを確立してから価格を上げたことです。「最高の美味しさをできたての状態で」というコンセプトと製造日固定という仕組みが、商品の希少性と鮮度価値を生みました。価格を上げる前に、上げられる価値を作った。この順序が重要です。
「賞味期限が短い」という制約を逆手にEC・DtoC販路に転換したことが、流通構造の変革につながりました。中間マージンを省いて消費者に直接届けることで、適正な価格を実現できる販路を自ら作り出した。制約が戦略の起点になっています。
BtoBの価格転嫁が難しい場合、DtoCへの転換という選択肢があります。取引先との価格交渉ではなく、顧客が自ら選んで買う商品を作ることが、価格決定権を取り戻す別のルートです。「値段を決められない構造」から脱出するために、販路と顧客を変えるという発想を持つことが、この事例の本質的な示唆です。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →