【労務費】最低賃金20.4%上昇分をマンレート改定し、品番別に加工費単価へ反映
非公開(表面処理業)
この事例のポイント
コスト上昇要因
人件費・労務費
交渉手法
データ提示型・制度活用型
活用ツール・支援機関
JAPIA(日本自動車部品工業会)
定量的な成果
マンレート4,000→4,816円/h(+20.4%)、品番別単価改定
当時の課題
- 地域の最低賃金が契約時から20.4%上昇。
- マンレート(時間単価)の改定が必要。
取組概要
- 地域別最低賃金の上昇率20.4%を適用し、マンレートを4,000円/h→4,816円/hに改定。
- 品番ごとに「マンレートアップ分(816円/h)×工数」を算出し、加工費単価に反映。
- 例:品番G1は工数0.03hで個あたり変動額24.48円、旧価格110.76円→新価格135.24円。
成果概要
- マンレート改定を品番別工数に展開し、全品番の加工費単価を改定。
副次効果
マンレート×品番別工数の体系的な転嫁モデル確立
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
表面処理業など、地域の最低賃金が長期間で大幅に上昇しており、マンレート(時間単価)の改定が必要だが品番別への展開方法が分からない発注側企業の経営者に読んでほしい事例です。マンレートを品番ごとの工数に展開して個別単価に反映した、実務的な手順が参考になります。
4,000円/hから4,816円/hへの20.4%という大幅なマンレート改定は、契約時からの時間的な蓄積を反映しています。「その都度対応せずにまとめて対応した」という状況ですが、改定額が大きい分、品番別への展開という精緻な作業が必要になります。大きな改定ほど、その内訳の透明性が重要です。
「品番ごとにマンレートアップ分(816円/h)×工数」という計算式は、加工費の積算原理を忠実に反映しています。工数が多い品番は転嫁額も大きく、工数が少ない品番は転嫁額も小さい——この当然の原則を、実際に品番別に計算することで、「なぜこの品番だけ大幅に上がったのか」という疑問に答えられます。品番別の根拠が、取引先の個別確認への対応力を高めます。
最低賃金という公的な指標を根拠にした今回の転嫁は、「社会が定めた水準の反映」という位置付けで説明できます。任意の数字を上乗せしているのではなく、法律で定められた賃金水準の変化を反映しているという論理は、発注側の担当者が社内で承認を得やすい文脈を提供します。公的根拠の活用が、価格転嫁の説得力を高めます。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →