サービス業・印刷・広告・IT 関係構築型 No.113

印刷業からDX支援へ業態転換しながら価格転嫁を実現

D社(印刷業、広告業、DX導入・支援事業)

この事例のポイント

コスト上昇要因

原材料費・人件費・物流費

交渉手法

関係構築型

活用ツール・支援機関

外注化による利益可視化

業態転換外注化利益可視化DX支援

出典より

愛知県「取引適正化・価格転嫁事例集」2026年2月 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • デジタル化・ペーパーレス化の流れで印刷需要が減少。
  • 主要取引先の販売会社グループがブランド店舗展開を縮めたことで受注量が一気に減少。
  • 紙やインクの価格、人件費、輸送費が上昇し、価格転嫁をしなければ立ち行かない状況。

取組概要

  • 自社で持っていた印刷設備を手放し印刷工程をすべて外注化。
  • 外注化により利益の有無が明確化され、価格転嫁交渉に踏み切る契機に。
  • 印刷業からDX導入・支援事業へ業態転換を進めつつ、輸送費をはじめ人件費など全要素の値上がりを根拠に価格交渉を実施。
  • マスコミ報道で値上げが社会的に理解される追い風も活用。

成果概要

  • 労務費の上昇分については大手顧客も自社で社員の給与を上げていることもあり理解度が高かった。
  • 印刷物の受注減少はあったものの、採算性の低い仕事が減ったことで価格転嫁に踏んだことによる成果と評価。

副次効果

印刷業からDX導入・支援事業への業態転換。紙からデジタルへの切り替え提案が業務見直しにつながる

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

印刷業など、市場そのものが縮小している業種で価格転嫁と事業転換を同時に進めなければならない経営者に読んでほしい事例です。デジタル化による需要減少と原価上昇の二重の圧力に対して、業態転換と価格転嫁を組み合わせた対応が参考になります。

自社の印刷設備を手放し、印刷工程をすべて外注化したという判断がターニングポイントです。自社設備があると固定費が見えにくくなり、「この仕事は赤字なのか黒字なのか」の判断が曖昧になります。外注化によって利益の有無が明確になったことが、価格転嫁交渉に踏み切る契機になっています。コスト構造の可視化が、交渉の出発点になるという点で共通する教訓です。

「採算性の低い仕事が減ったことで成果と評価」という記述は示唆的です。価格転嫁の結果として一部の受注が減ることは避けられませんが、それが採算の悪い仕事であれば、売上は減っても利益は改善します。「売上を減らしてはいけない」という思い込みが、赤字受注を続ける原因になっている企業は多いはずです。

印刷業からDX導入・支援事業への業態転換は、「紙の代わりにデジタルを提案する」という流れで既存顧客との関係を維持しながら進められている点も参考になります。価格転嫁は単なる値上げではなく、自社の提供価値を再定義する機会でもあります。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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