卸売業・卸売 データ提示型 差別化型 No.114

為替変動を背景に10年ぶりの値上げを実現。差別化が追い風に

E社(メガネおよび関連製品の卸売)

この事例のポイント

コスト上昇要因

原材料費・人件費

交渉手法

データ提示型・差別化型

活用ツール・支援機関

シミュレーションソフト・BtoB発注サイト「Meigan SHOP」

定量的な成果

ほぼすべての販売先で値上げ受諾

差別化10年ぶりの値上げシミュレーションBtoBサイト活用

出典より

愛知県「取引適正化・価格転嫁事例集」2026年2月 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • メガネ関連商品は輸入品が多く、為替変動が最大の値上げ要因。
  • 子ども用メガネブランド「トマトグラッシーズ」は製造元の韓国メーカーとの取引契約形態変化もあり10年間値上げなし。
  • 自社が卸売価格の決定権を持っていなかった。

取組概要

  • ①子ども用メガネブランド「トマトグラッシーズ」の10年ぶりの値上げ、②為替変動に伴う取扱商品全般の値上げの二段階で実施。
  • 営業が担当顧客に直接訪問して交渉。
  • BtoB発注サイト「Meigan SHOP」やカタログで「価格改定のお知らせ」を掲載。
  • 商品ごとに競合他社との価格差、売上・利益等を考慮しシミュレーションソフトで値上げ幅を算出。

成果概要

  • ほぼすべての販売先がブランドの値上げを受け入れ。
  • 「これまでよく我慢して値上げをしないでくれた」と感謝されるほど。
  • 花粉対策用メガネなど新商品開発も行い、ドラッグストアでの販売チャネルも見合わせる決定を下した。

副次効果

BtoB発注サイトによる顧客との情報発信・利便性向上が差別化につながった

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

卸売業で、長期間値上げをしてこなかったために「今さら言い出しにくい」と感じている経営者に読んでほしい事例です。10年間値上げなしだった子ども用メガネブランドの価格改定を実現した過程は、「長く据え置いたからこそ理解が得られる」という逆転の構図を示しています。

「これまでよく我慢して値上げをしないでくれた」と販売先から感謝されたというエピソードは、多くの経営者が見落としがちな視点を提供します。長期間の価格据え置きは、発注側から見れば「この会社はコスト吸収の努力を続けてきた」という信頼の蓄積です。その信頼があるからこそ、値上げの説明が受け入れられやすくなります。

商品ごとに競合他社との価格差、売上・利益等を考慮してシミュレーションソフトで値上げ幅を算出したという手法は、感覚ではなくデータに基づく値付けです。特に卸売業は商品数が多いため、個別にシミュレーションすることで「この商品は上げる、この商品は据え置く」という濃淡をつけられます。一律の値上げよりも、販売先にとって受け入れやすい提案になります。

BtoB発注サイト「Meigan SHOP」を通じた価格改定の告知は、卸売業の価格転嫁の手法として注目に値します。営業担当が一軒一軒訪問するだけでなく、デジタルチャネルで情報を発信する。この両面からのアプローチは、取引先の数が多い卸売業ほど有効です。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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