製造業・食品 付加価値型 No.12
価格交渉に必要なのは、商品の独自性への自信
J社(生パスタ製造)
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費
交渉手法
付加価値型
活用ツール・支援機関
ブランド力・地域素材
独自性価格決定権地域ブランディング
当時の課題
- コロナ禍によって卵や小麦の価格上昇に直面。
- 唯一無二の商品であるため、価格改定が取引先の飲食店に与える影響への懸念。
取組概要
- 高崎産小麦「きぬの波」を100%使用した生パスタを製造しており、BtoB事業が売上の9割。
- 小売商品については120g一束を20円値上げ。
- BtoB事業では協力物流会社に対する卸価格を据え置きながら飲食店への販売価格を引き上げる戦略を採用。
- 「ジャバスタリアならもっと高くしていい」と言われるブランドを確立したことが価格転嫁成功の要因。
成果概要
- 帳簿上の利益率は低下したものの、事業継続に不可欠な物流パートナーとの関係を強化。
- 安定収益が積み上がる積算型ビジネスモデルを構築。
- 地域ブランディングにも貢献。
副次効果
物流パートナー関係強化・地域ブランディング
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
食品製造業で、地域の特産品や独自素材を使った商品を持ちながら、取引先への価格転嫁に踏み切れずにいる方に、読んでほしい事例です。
この事例の核心は「唯一無二の商品」という立ち位置を価格転嫁の根拠にしたことです。高崎産小麦100%使用という調達上の制約が、他社には真似できない独自性を生む。代替品がない商品は価格決定権を持てます。小麦・卵の価格上昇に直面しながらも、商品の独自性を守ることで値上げの正当性を確立しました。
物流パートナーとの関係強化という副次効果も見逃せません。値上げ交渉の過程で協力物流パートナーとの連携が深まったことで、安定供給体制が強化された。コスト転嫁の交渉が、サプライチェーン全体の関係構築の機会になっています。
地域ブランドと価格転嫁は相乗します。「地元素材を使った唯一の商品」というポジションを守ることが、長期的な価格決定権の維持につながる。安易にコストを下げる材料選択に走らず、独自性を守る選択が、価格転嫁の土台を作ります。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →