卸売・小売業・食品 データ提示型 No.22

メーカーの値上げを好機に粗利率の改善を実現

非公開(全酒類卸売)

この事例のポイント

コスト上昇要因

原材料費・物流費・運賃

交渉手法

データ提示型

活用ツール・支援機関

下限粗利率設定・商品別見積書

定量的な成果

粗利率+2%改善

下限粗利率数値経営論理的交渉

出典より

経済産業省 中小企業庁「業種別 価格交渉・価格転嫁 成功事例集」 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • コロナ禍での需要減に加え、メーカーの相次ぐ値上げや物流費増により収益が圧迫。
  • 仕入コストの上昇を適正に転嫁し事業を継続させることが急務。

取組概要

  • まず全商品について仕入先からの納品価格やメーカーの希望小売価格に関する詳細なデータを収集。
  • 年間の売上金額に対する販売管理費の比率を精密に算出。
  • 客観的なデータに基づいて得意先ごとに下限となる粗利率を明確に設定し適正な価格水準を論理的に導き出した。
  • 交渉では各種商品の最新の見積書を作成して持参し得意先に対して丁寧かつ粘り強く対話を重ねた。

成果概要

  • 得意先や納品商品ごとに細かく価格の見直しを実現。
  • 特にメーカーの値上げ対象外ながら粗利率が低い商品についても価格改定できた。
  • 会社全体の粗利率は約2%改善し収益体質の強化につながった。

副次効果

収益体質強化

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

食品卸売業で仕入コストが上がっているのに得意先への価格転嫁が進まず、粗利率が下がり続けている方に、読んでほしい事例です。

この事例の核心は「下限粗利率」という基準を設けて数値で交渉したことです。年間売上に対する販売管理費の比率を精密に算出し、これを下回ったら赤字になるという数字を根拠にした。感覚的な「厳しい」ではなく「この粗利率を下回ると事業が成立しない」という論理が交渉を明確にしました。

メーカーの値上げ対象外の商品についても粗利率が低いものを価格改定できたことが特筆されます。値上げ要因が直接ない商品でも、適正利益を確保するための価格改定を実行した。「メーカーが上げたから転嫁する」という受動的な対応を超え、自社の収益構造から主体的に価格を設計しています。

粗利率+2%という成果は小さく見えますが、卸売業の薄利構造においては大きな意味を持ちます。数値で経営を把握し、数値で交渉する。この習慣が価格転嫁の継続的な実現を支えます。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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