卸売・小売業・資材 データ提示型 関係構築型 No.27

取引先の立場を尊重し、価格転嫁チェーンを円滑に

非公開(建材販売等)

この事例のポイント

コスト上昇要因

原材料費・物流費・運賃・人件費・労務費・為替・円安

交渉手法

データ提示型・関係構築型

活用ツール・支援機関

猶予期間設定・外部アドバイザー

猶予期間サプライチェーン差別化

出典より

経済産業省 中小企業庁「業種別 価格交渉・価格転嫁 成功事例集」 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 原材料費・物流費・人件費の高騰や為替変動により事業コストが大幅に増加。
  • 川上からの上昇圧力を川下へ転換するため経営戦略の転換が必要。

取組概要

  • 仕入業者と配送業者の値上げ希望、発注元企業からの価格交渉の申し入れと双方向での調整。
  • 原材料費や労務費のデータを収集し客観的な価格改定根拠を整備。
  • 自社の付加価値・差別化要素を見直し取引先の業界・業種情報を収集して価格交渉順を検討。
  • さらに同業他社との意見交換や外部アドバイザーからの助言を活用。
  • 価格改定まで十分な猶予期間を設け顧客の価格転嫁を支援する配慮を行った。

成果概要

  • 顧客への丁寧な説明と価格改定まで十分な猶予期間を設けたことで顧客とともに適正価格を実現し、卸売業における価格転嫁チェーンの円滑化に貢献。
  • 売上増加を達成し従業員の賃上げを実現。
  • 人材の確保にも好影響。

副次効果

価格転嫁チェーン円滑化・賃上げ

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

資材・建材卸売業でサプライチェーンの上下から挟まれ、仕入先からの値上げと発注元への転嫁の両方に対応しなければならない方に、読んでほしい事例です。

この事例の本質は「双方向の価格調整を同時進行させた」ことです。仕入業者・配送業者の値上げ要望と発注元からの交渉申し入れを、それぞれ別々に対応するのではなく連動させた。川上のコスト上昇を川下に転嫁するチェーンを意識的に設計することで、個社で抱え込まない構造を作りました。

顧客への十分な猶予期間の設定が、交渉の摩擦を減らした重要な要因です。「来月から値上げします」ではなく、計画的な予告と移行期間の設定が、顧客の反発を抑えました。時間的な配慮が、価格改定への理解を生みます。

価格転嫁チェーンの円滑化という成果は、個社を超えた業界全体への貢献でもあります。自社が適切に転嫁できることで、仕入先も下流への価格転嫁を実現できる。卸売業が価格転嫁を実現することの社会的意義を、この事例は示しています。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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