サービス業・娯楽・生活関連 データ提示型 No.45
原価の精緻な再計算と社内共有で持続可能な経営へ
非公開(デジタルクリエイティブ)
この事例のポイント
コスト上昇要因
人件費・労務費
交渉手法
データ提示型
活用ツール・支援機関
工数単価再計算・見積書刷新
工数単価社内意識統一時間の価値
当時の課題
- 人件費高騰により収益性が悪化し適正な利益確保が困難に。
- 従業員への適切な処遇と企業の持続的成長を両立させるため工数管理と価格体系の再構築が急務。
取組概要
- 積算の基礎となる1時間あたりの費用が実態と乖離しており人件費上昇に見合った適正価格への見直しが急務。
- 人件費の実態を正確に把握するため原材料費や労務費のデータを詳細に収集し精緻な原価計算を実施。
- これをもとに積算の基礎となる1時間あたりの費用を抜本的に見直し従業員の処遇から逆算した適正な価格を再設定。
- 製品単価表や労務費単価表を新規作成し見積書の形式も全面的に刷新。
- 価格改定の意図を制作現場のメンバー一人ひとりに正確に伝え組織全体での意識共有を図った。
成果概要
- 工数単価の引き上げを達成でき売上高の増加と利益率の改善を実現。
- 適正価格での取引が定着したことにより人件費高騰に対応できる持続可能な収益構造を確立でき従業員への適切な処遇の確保も可能となった。
副次効果
持続可能な収益構造・適切な処遇確保
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
娯楽・生活関連サービス業で、人件費の高騰により積算単価と実態の乖離が大きくなっている経営者に、特に読んでほしい事例です。「1時間あたりの費用が実態と乖離している」という原価計算の歪みを発見し、修正したことが価格転嫁の起点になりました。
この事例の核心は、価格改定を「単なる値上げ」ではなく「適正な原価に基づく再設定」として設計した点です。従業員の処遇から逆算して適正な価格を設定するという順序は、「市場価格に合わせて原価を圧縮する」という多くの中小企業が陥る発想の逆です。「どれだけ稼ぐ必要があるか」から始めることで、交渉の場での根拠が固まります。
制作現場のメンバー一人ひとりに価格改定の意図を正確に伝えたという点も見逃せません。価格改定は顧客への説明と同様に、社内への説明も重要です。現場のスタッフが価格改定の理由を理解していれば、顧客からの問い合わせにも自信を持って答えられます。内向きの説明責任が、外向きの説得力を高めます。
見積書の形式を全面的に刷新し、労務費単価表を新規作成したことは、今後の継続的な価格管理の基盤づくりでもあります。一度整備したこの仕組みがあれば、次回の人件費上昇時にも同じ論理で改定を説明できます。価格交渉のインフラを整えることが、持続的な適正価格維持の鍵です。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →