客観的根拠の提示と高付加価値化で適正価格を実現
非公開(商空間プロデュース)
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費・人件費・労務費
交渉手法
データ提示型・付加価値型
活用ツール・支援機関
ワンストップソリューション・差別化要素再定義
当時の課題
- 原材料費と人件費の高騰、さらに労働時間の上限規制への対応により収益性が悪化。
- 事業継続と働き方改革を両立させるため価格施策の抜本的な見直しが不可欠。
取組概要
- 労働集約的な事業特性を持ち適正な労働環境の確保と収益性の両立が求められる状況。
- 引き合い段階での取引条件確認を徹底し原材料費や労務費のデータを精緻に収集して客観的な根拠を整備。
- 従来の見積書形式を見直し自社独自の付加価値や差別化要素を再定義。
- 同業他社や地域企業との積極的な意見交換を通じて市場や価格改定動向を正確に把握。
- 特に顧客側が抱える人材不足という課題に対し担当者の視点に立ったワンストップソリューションを提供。
成果概要
- データに基づく客観的な交渉と顧客の課題解決により円滑な価格交渉を実施。
- 単純な価格競争から脱却し高付加価値化で事業ポートフォリオ自体を変革し収益性を確保した点は環境変化に強い経営判断。
副次効果
事業ポートフォリオ変革
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
娯楽・生活関連サービス業で、労働時間の上限規制への対応と収益性改善という二重の課題を抱えている経営者に読んでほしい事例です。「単純な価格競争から脱却し、高付加価値化で事業ポートフォリオ自体を変革した」という本質的な転換が、この事例の最大の成果です。
注目すべきは、「顧客側が抱える人材不足という課題に対し、担当者の視点に立ったワンストップソリューションを提供した」という付加価値の設計です。自社のサービスを「何を提供するか」で定義するのではなく、「顧客のどんな課題を解決するか」で再定義することで、競合他社との差別化が生まれます。この視点の転換が、価格競争から抜け出す出口を作ります。
引き合い段階での取引条件確認の徹底は、受注後の価格交渉の困難を未然に防ぐ重要な慣行です。価格を下げて受注することへの誘惑は強いですが、後から価格を修正することは前から適正価格で受けることより何倍もの労力が必要です。「引き合い段階」という最も交渉力が高い時機に、条件を明確化する習慣が長期的な収益を守ります。
地域企業や同業他社との意見交換を通じて市場動向を把握した点も重要です。価格転嫁を個社の問題として解決しようとすると、市場の中での自社の立ち位置を見失います。業界全体の方向性を把握しながら自社の戦略を立てることが、孤立した価格交渉ではなく「市場の現実」を背景にした交渉力につながります。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →