サービス業・娯楽・生活関連 付加価値型 No.47
付加価値向上と無料体験で、納得感ある価格改定
M社(美容室運営)
この事例のポイント
コスト上昇要因
その他
交渉手法
付加価値型
活用ツール・支援機関
マイクロバブル発生装置・3ヶ月無料体験
定量的な成果
一律220円引上げ(5〜10%)
無料体験納得感醸成付加価値向上
当時の課題
- コロナ禍による客数減とコスト高騰に直面。
- 事業承継を見据えて収支シミュレーションを実施した結果、収益性向上のための価格改定が必要だと理解。
取組概要
- サービスの付加価値向上とセットで顧客に納得していただく戦略を取り組んだ。
- 経営革新事業の一環としてマイクロバブル発生装置を導入。
- 価格の見直しを行うと決め洗髪やドライ時間の短縮につながるマイクロバブル施術(新メニュー)の3ヶ月間の無料体験期間を設定。
- 無料期間中は全ての顧客に洗浄効果や仕上がりの違いを体験していただくことを優先し、無料期間終了後に新設備をメニューに使用することをお伝えし価格改定に向けて丁寧に説明を重ねた。
成果概要
- 水を使うメニューの一律220円の引き上げ(約5〜10%上昇)を実現。
- 「他店も値上げしているから」という理由ではなくサービスの付加価値を高め顧客満足度の向上を図りながら価格改定を進めることが重要。
副次効果
顧客満足度向上
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
美容・リラクゼーション業で、コスト上昇を受けて価格改定を検討しているが顧客離れを恐れている経営者に、読んでほしい事例です。3ヶ月間の無料体験期間という「先に価値を届ける」戦略が、顧客の納得感ある値上げを実現しました。
この事例の最も優れた点は、新サービス(マイクロバブル施術)の体験を「無料で全顧客に先に提供」してから、その後で価格改定を説明したことです。「値上げします。代わりにこんなサービスを追加しました」という説明順序と、「先に体験してもらい、効果を実感した後で値上げの理由を伝える」という順序では、顧客の受け取り方が根本的に異なります。価値を先に届けることが、価格改定への理解を生みます。
「他店も値上げしているから」という理由ではなく、サービスの付加価値を高めながら価格改定を進めることが重要——という言葉は、価格転嫁の哲学として学ぶべき部分です。市場全体の動向を「言い訳」に使う値上げと、自社の価値向上を「根拠」にした値上げは、顧客との関係の質が全く異なります。
事業承継を見据えた収支シミュレーションが価格改定の出発点になったという背景も注目です。将来の経営者に渡す事業の財務健全性を守るための価格改定は、現在の顧客だけでなく将来の従業員・経営者への責任でもあります。経営判断としての価格設定という視点が、長期的な事業価値を守ります。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →