サービス業・娯楽・生活関連 付加価値型 関係構築型 No.48

高付加価値戦略と地域との連携で収益性を改善

P社(地域創生)

この事例のポイント

コスト上昇要因

エネルギー・光熱費・その他

交渉手法

付加価値型・関係構築型

活用ツール・支援機関

世界一のお掃除・ブックカフェ・地域連携

定量的な成果

入浴料+10%/飲食+10〜20%

滞在の質目的地化地域連携

出典より

経済産業省 中小企業庁「業種別 価格交渉・価格転嫁 成功事例集」 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 水道光熱費の急騰と設備の老朽化が経営を圧迫。
  • 人口減少に伴う町民客の減少を受け町外からの集客強化と修繕原資を確保するための価格改定が課題。

取組概要

  • 温泉入浴料を500円から550円へ引き上げるとともに飲食メニューも約1割から2割値上げし収益改善に着手。
  • 「世界一のお掃除」というコンセプトを掲げホスピタリティと清潔さを追求。
  • 温泉ブックカフェの設置や高級マッサージ機の導入、飲食・アルコールメニューの充実を図り、小旅行気分を味わえる良質な滞在時間の提供にこだわった。
  • 地域の宿泊施設とも密に連携し自施設の大浴場を宿泊客に提供するなどの相乗効果を創出。

成果概要

  • 値上げ後も顧客は離れずむしろ町外からの観光客が大幅に増加。
  • 地元客と町外客の比率が逆転し売上の約35%を占める物販・お土産を含めた全体の利幅が拡大。
  • 地域の宿泊施設との連携による相乗効果も生まれている。

副次効果

町外観光客増加・地域連携効果

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

温泉・入浴施設業で、水道光熱費の急騰と人口減少という構造的な課題に直面している経営者に読んでほしい事例です。「世界一のお掃除」というコンセプトを軸に、地域の温泉施設を観光資源に転換した事例です。

値上げ後に地元客と町外客の比率が「逆転した」という成果は、この事例の戦略が価格転嫁に留まらない事業変革だったことを示しています。単価を上げながら客数も増やすという理想的な結果は、「小旅行気分を味わえる良質な滞在時間」という体験価値の設計によって実現しました。価格を上げることで、むしろ来てもらいたい客層が来るようになるという逆説があります。

地域の宿泊施設との連携で自施設の大浴場を宿泊客に提供したことも、注目すべき施策です。競合ではなく補完関係にある地域事業者と連携することで、どちらも単独では実現できない付加価値が生まれます。「地域全体で観光客を迎える体制」を作ることが、個社の価格転嫁にも追い風をもたらします。

物販・お土産が売上の約35%を占めるという構造も重要な示唆を含んでいます。入浴料という「一回きりの体験」だけでなく、持ち帰れる「記念品」という収益源を持つことで、客単価と収益構造が安定します。価格転嫁を検討する際には、主力サービスの値上げだけでなく、収益源の多様化という視点も持つことが大切です。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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