サービス業・宿泊業 付加価値型 データ提示型 No.53
原価管理の強化と自社の強みを踏まえた適正価格設定で業績改善
O社(温泉旅館(福井県若狭町))
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費・エネルギー・光熱費
交渉手法
付加価値型・データ提示型
活用ツール・支援機関
原価管理強化
定量的な成果
3期ぶり黒字化
原価管理適正価格黒字化
当時の課題
- コロナ禍による客数減少と原材料費・光熱費の高騰により経営が悪化。
- 適正な価格設定への転換が急務だった。
取組概要
- 原価管理を強化し、自社の強みである温泉や地域の食材を踏まえた適正な価格設定を実施。
- 単純な値上げではなく、サービスの付加価値を高めたうえでの価格改定を行った。
成果概要
- 2023年7月期は3期ぶりに黒字化を達成。
- 適正な価格設定により持続的な経営基盤を確立。
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
宿泊業で、コロナ禍のダメージと原材料費・光熱費の高騰という重なったコスト増に直面している経営者に読んでほしい事例です。単純な値上げではなく、自社の強み(温泉・地域食材)を前面に出した付加価値型の価格改定が、3期ぶりの黒字化を実現しました。
この事例から学ぶべき最も重要な点は、価格改定のタイミングと内容の設計です。「コストが上がったから値上げする」という守りの発想ではなく、「自社の強みを価格に反映させる」という攻めの発想で改定を行いました。温泉という地域固有の資源と、地元食材という差別化要素を価格の「根拠」として明確に定義できたことが、宿泊客の納得感を生んだと考えられます。
3期ぶりの黒字化という成果は、価格改定の効果だけでなく、原価管理の強化という地道な取り組みの成果でもあります。価格を上げると同時に、原価をきちんと管理する仕組みを整えることで、価格改定の効果が確実に利益として残ります。売上が増えても原価率が悪化していれば、黒字にはつながりません。
宿泊業は、食品・光熱費・人件費という複合的なコスト上昇に直面しやすい業種です。この事例が示すように、個々のコスト増への対処ではなく、「自社の価値を正しく価格に反映させる」という事業全体の視点での改革が、持続的な経営基盤の確立につながります。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →