原価見える化で採算性の低い取引先から優先交渉
非公開(アパレル向け資材製造業)
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費
交渉手法
データ提示型
活用ツール・支援機関
長野県価格転嫁サポートセミナー
当時の課題
- 多数の取引先があるが、どこから交渉を始めるべきか判断できず。
取組概要
- 全取引先の採算性を分析し、採算性の低い取引先から優先的に価格交渉を実施。
- 原価構成の見える化資料を作成して提示。
成果概要
- 採算性の低い取引先から順次値上げに成功。
副次効果
取引先の優先順位付けと原価管理体制の構築
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
アパレル向け資材製造業など、多数の取引先を抱え「どこから価格交渉を始めるべきか」の優先順位が定まらない経営者に読んでほしい事例です。採算性を取引先ごとに分析し、採算性の低い順に交渉するという「優先順位の設計」が、交渉全体を効率化しました。
この事例の核心は、「全取引先に同時に値上げ交渉するのは現実的でない」という認識から出発したことです。取引先が多い場合、交渉コスト・関係維持コストを考えると、全先への一斉交渉は困難です。採算性の低い取引先から優先的に着手することで、「最もリスク許容度が高い先」から成功体験を積み、その成果を次の交渉に生かす段階的な戦略を取れます。
採算性の低い取引先から値上げを交渉することには、もう一つの戦略的な意味があります。その取引先との交渉が決裂した場合、「最も採算の悪い取引先を失う」という結果になります。これは経営上のリスクを最小化しながら価格交渉を進める構造です。交渉の優先順位は、単に「可能性が高い先から」ではなく、「失っても困らない先から」という観点で設計することが、心理的な余裕を生みます。
全取引先の採算性を一覧化した資料を作ること自体が、経営の見える化として価値があります。どの取引先が自社の収益に貢献しているか、どこが収益を圧迫しているかを把握することは、価格転嫁だけでなく、取引先の取捨選択という中長期的な経営判断にも活用できます。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →