サービス業・宿泊業 関係構築型 付加価値型 No.69

仕入先との毎月の話し合いと部屋改装で価値向上型転嫁

T社(宿泊業(福井県福井市・従業員0名))

この事例のポイント

コスト上昇要因

原材料費・エネルギー・光熱費

交渉手法

関係構築型・付加価値型

活用ツール・支援機関

福井県よろず支援拠点

毎月対話/部屋改装/付加価値向上

出典より

福井県価格転嫁好事例集 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 食材費・光熱費の高騰で利益が圧迫。
  • 小規模旅館で価格交渉力が弱い。

取組概要

  • 仕入先と毎月の定期的な話し合いの場を設け、価格変動を共有。
  • 並行して客室の改装を実施し、宿泊の付加価値を向上させて料金改定。

成果概要

  • 仕入コストの適正化と客室改装による付加価値向上で価格転嫁を実現。

副次効果

仕入先との信頼関係強化・施設の魅力向上

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

小規模旅館・民宿など宿泊業で、食材費・光熱費の高騰への対応と、仕入先との関係維持を同時に考えている経営者に読んでほしい事例です。「毎月の定期的な話し合い」という継続的なコミュニケーションが、仕入コスト適正化と価格改定の両方を支えました。

この事例の最も学ぶべき点は、仕入先との関係を「値下げ交渉の場」ではなく「価格変動の共有の場」として設計したことです。毎月の定期的な話し合いで価格変動情報を共有することで、「急に値上げを言われた」という驚きがなくなります。価格変動の透明性が、双方の信頼関係を保ちながらの適正価格化を可能にします。

並行して実施した客室改装は、「値段を上げる理由」を物理的に作る投資です。改装前と改装後で「見た目に分かる変化」があれば、料金改定への顧客の心理的抵抗が下がります。「前より良くなったから、料金も変わった」という論理は、顧客にとって理解しやすいものです。価値向上への投資は、価格転嫁の「許可証」を作る行為でもあります。

小規模旅館という立場での価格交渉力の弱さを、「仕入先との関係構築」と「サービス価値の向上」という二つの方向性で補った点が、この事例の構造的な強みです。交渉力が弱い立場でも、準備と関係性の積み上げによって適正価格への転換が実現できることを示しています。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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