「価格交渉はメリットたくさん」価格を上げながら会社を強く
非公開(真空成型・シリコンゴム成型・精密電子部品の製造(設立1990年))
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費
交渉手法
付加価値型・関係構築型
活用ツール・支援機関
埼玉県伴走型支援・専門家派遣
定量的な成果
売上50%で採算価格達成、ゴム製品14.7%UP
当時の課題
- 取引の7割が下請けで価格転嫁ができず、利益率の低さが課題。
- BtoCの新事業にも取り組むが本業の改善が必要。
取組概要
- 専門家の助言で自社の強みを理解。
- 情報収集を重視し、取引先の人事異動・競合情報まで把握。
- 交渉では自社が「補える」部分は強気に価格設定。
- 新たな仕事の開拓も並行。
成果概要
- 売上の50%で採算の取れる価格を達成しつつある。
- 上場企業からの原材料価格改定も実現。
副次効果
自社の強み・弱みの自覚、新規事業開発への展開
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
ゴム・シリコン成型など下請製造業で、取引の大半が下請けで価格転嫁が難しいと感じている経営者に読んでほしい事例です。「自社が補える部分は強気に価格設定する」という選択的な強気戦略が、採算改善につながっています。
この事例の最も学ぶべき点は、「情報収集を重視し、取引先の人事異動・競合情報まで把握した」という姿勢です。価格交渉は交渉当日の準備だけで決まりません。取引先の経営状況、担当者の関心事、競合他社の動向を平素から把握することで、交渉のタイミングと訴求ポイントを最適化できます。「知ること」そのものが交渉力の源泉です。
「自社が補える部分は強気に価格設定する」という戦略は、全案件を一律に強気にするのではなく、自社の技術力・対応力が他社に代替しにくい部分を選別して価格訴求するという精緻さを含んでいます。代替困難な強みを持つ案件では価格決定権が自社にあり、汎用的な案件では競争が激しい——この違いを見極めて価格戦略を使い分けることが、全体的な採算改善につながります。
新たな仕事の開拓を並行して進めている点も重要です。既存取引先への依存度を下げながら価格交渉するという構造は、前述の司法書士事務所の事例(No.49)と共通しています。新規顧客・取引先の開拓が、既存取引先への交渉力を高めるという逆説があります。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →