製造業・化学・機械・加工紙 データ提示型 付加価値型 No.8

物価指数を活用し、価格改定と意識改革を達成

非公開(物流機器製造)

この事例のポイント

コスト上昇要因

原材料費・エネルギー・光熱費・人件費・労務費・為替・円安

交渉手法

データ提示型・付加価値型

活用ツール・支援機関

日銀物価指数・価格改定背景資料

日銀物価指数社会情勢連動付加価値開発

出典より

経済産業省 中小企業庁「業種別 価格交渉・価格転嫁 成功事例集」 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 原材料費・エネルギー価格・人件費などの高騰と為替変動により収益性が大幅に悪化。
  • 新たな投資と経営戦略の転換が求められていた。

取組概要

  • 重要取引先から「取引に関する困りごとの調査」をいただいたことを機に価格交渉に取り組む。
  • 原材料費や労務費のデータ収集と原価計算を実施。
  • 日本銀行の物価指数をエビデンスとして活用し、社会的背景と自社の課題を組み合わせた「価格改定背景資料」を作成。
  • 同時に新たな機能・オプションの開発プロジェクトを立ち上げ、短期間でのアジャイル開発により付加価値を創出。

成果概要

  • 価格転嫁に成功し、利益率の改善、従業員の賃上げ、事業拡大に向けた投資を実現。
  • 営業組織全体が収益性を強く意識するようになり、低収益の顧客・案件については受注可否を多面的に検討する体制が構築された。

副次効果

意識改革・受注体制構築・賃上げ

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

製造業で原材料費・エネルギー・人件費・円安と四重苦に直面し、どれだけコストが上がっているか客観的に説明できずにいる方に、読んでほしい事例です。

この事例の特徴は、日本銀行の物価指数をエビデンスとして活用したことです。自社のコスト感覚ではなく、公的機関が公表する数字を根拠に示すことで、個社の主張が社会情勢に裏付けられた事実として伝わりました。「うちが苦しい」ではなく「社会全体でこれだけ上がっている」という文脈は、相手の受容を大きく変えます。

交渉のきっかけが「取引先からの困りごと調査」だったという点も興味深い。相手が問題意識を持っていたタイミングを活かした。価格交渉は常に自社から持ち出すものではなく、相手の問いかけに誠実に応える形で始まることもあります。

利益改善・賃上げ・投資の三つを同時に実現した背景には、社内の意識変革がありました。営業組織全体が収益性を意識するようになったことで、次の交渉の土台も整った。価格転嫁は一度の交渉ではなく、組織文化の変容として捉えることが持続的な経営につながります。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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