卸売・小売業・室内装飾品・肥料卸売 データ提示型 関係構築型 No.84
仕入先の値上げ通知を根拠に卸売価格を改定
U社(室内装飾品卸売業・肥料卸売業(栃木県・従業員13名))
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費・物流費・運賃
交渉手法
データ提示型・関係構築型
活用ツール・支援機関
栃木県工業振興課
仕入値上げ通知/エビデンス活用/情報共有
当時の課題
- 仕入コストの上昇が続くが、販売先への転嫁が進まず利益率が低下。
取組概要
- 仕入先からの値上げ通知書を根拠資料としてそのまま活用。
- 取引先にコスト上昇の「エビデンス」として提示し価格改定を交渉。
成果概要
- 仕入コスト上昇分の転嫁を実現。
副次効果
取引先との情報共有体制の構築
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
卸売業で、仕入コストの上昇を販売先に転嫁する際に何を根拠にすべきか悩んでいる経営者に、特に読んでほしい事例です。「仕入先からの値上げ通知書をそのまま根拠資料として活用した」というシンプルかつ強力な手法が印象的です。
仕入先からの値上げ通知書は、すでに自社の手元にある最も客観的な証拠です。この通知書を「捨てる書類」ではなく「次の交渉の根拠資料」として保管・活用する意識の転換が、この事例の本質です。仕入先が提示したデータを、そのまま販売先への説明に使うことで、「自社の主張」ではなく「サプライチェーン上の事実」として価格上昇を提示できます。
卸売業の価格転嫁は、「仕入先からのコスト上昇」と「販売先への転嫁」という二層の交渉を持ちます。この事例では、下流への転嫁に際して上流の証拠をそのまま使うことで、「私が言っているのではなく、メーカーが上げた」という第三者性を確保しました。この「他者の声を借りた根拠」は、自社主張よりも説得力があります。
関係構築型という交渉手法タグも示す通り、長期取引先との関係を維持しながら価格改定を進めることが、卸売業では特に重要です。急激な値上げではなく、根拠を示しながら丁寧に進めることで、取引関係の継続と適正利益の確保を両立できます。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →