製造業・食品 データ提示型 No.9
詳細な原価計算と商品力向上で持続経営を実現
I社(農産物加工)
この事例のポイント
コスト上昇要因
原材料費・物流費・運賃
交渉手法
データ提示型
活用ツール・支援機関
独自原価計算表(Excel)・コンサルタント
原価計算選択肢提供薄利脱却
当時の課題
- 創業当初の原価計算知識の乏しさから資金繰りが悪化し、OEM事業でも原材料費や運賃の値上げが続いた。
- 緻密な原価計算に基づく適正価格設定が不可欠な状況。
取組概要
- コンサルタントからの学びをもとに人件費から資材費に至るまで全てのコストを反映できるExcel表を自社で開発。
- OEMの見積もり作成時は使用食材を仕入れ単位で計上し、特定の商品材料で余りが出た場合はそのコストも商品価格に含めた。
- 工程ごとに価格を算出し工程追加分の価格上昇を根拠を数値化することで徹底した透明性を確保。
成果概要
- 原価の見える化で商品に正確な利益を乗せられるようになり、持続的な事業運営を実現。
- 原料価格が約5倍になった自社商品は量産によるスケールメリットを活かして製品単価の上昇幅を最小限に抑制。
- 簡易包装の据え置き価格商品と贈答用の高価格商品の2パターンを展開し消費者に選択肢を提供。
副次効果
持続的経営・選択肢提供
森岡誠の解説
価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー
農産物加工・食品製造で、原価計算の知識が乏しく「正確な価格をつける自信がない」という状況から脱け出したい方に、特に読んでほしい事例です。
この事例の出発点が「資金繰りの悪化」だったことに注目してください。価格転嫁以前の問題として、そもそも自社の原価を正確に把握できていなかった。コンサルタントの助言をもとに人件費から資材費まで全コストを反映できるExcel表を自社で開発したことが、すべての起点になっています。
原料価格が約5倍になった商品に対して、廃番にするか価格を上げるか、顧客が選べる形で提示したことも重要です。「値上げするしかない」を一方的に押しつけるのではなく、相手に選択肢を与えることが、取引関係の維持につながります。
「正確な原価計算ができていない」という問題は、多くの中小企業に共通します。しかし原価を把握することは交渉力の源泉であり、事業継続の基盤でもあります。ツールはExcelで十分です。まず計算できる状態を作ることが、価格転嫁の第一歩です。
※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →