農業・いちご栽培他 データ提示型 付加価値型 No.37

高付加価値商品の開発と適正値付けで収益性を向上

非公開(いちご栽培他)

この事例のポイント

コスト上昇要因

原材料費・エネルギー・光熱費

交渉手法

データ提示型・付加価値型

活用ツール・支援機関

人時生産性向上・商品力強化

定量的な成果

いちご狩り+5%/フィナンシェ+12%/カステラ+10%

適正価格商品力価値証明

出典より

経済産業省 中小企業庁「業種別 価格交渉・価格転嫁 成功事例集」 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 原材料費や光熱費の著しい高騰が収益を圧迫。
  • 自社のコスト削減努力だけでは吸収できず企業の存続に向け製品価値に見合った適正な価格改定が不可欠な状況。

取組概要

  • 価格改定に先立ち自社努力として人時生産性(従業員1名が1時間あたりに生み出す付加価値)の向上に着手。
  • 農業資材費・光熱費・食材費のコスト増を根拠とした価格改定を実施。
  • いちご狩りの価格を5%、主力商品のフィナンシェの価格を12%、カステラの価格を10%引き上げることを決断。
  • 特に人気ナンバーワンの「フィナンシェ12個入り」は3,120円から3,480円へと値上げ。
  • 自信のある商品に対して適正な利益をいただける値付けを行うことは事業の継続や魅力的な商品開発のために必要不可欠だと確信。

成果概要

  • 値上げ後も客足が絶えずむしろ売上が伸長した事実は商品の「本質的な価値」が高かった証左。
  • 新鮮な果実・地元食材を取り入れた妥協のない商品作りを通じて適正な価格での販売を継続。

副次効果

売上伸長・商品価値証明

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

農業・直販事業で、光熱費・原材料費の高騰に直面しながら、顧客との直接取引で価格改定を検討している経営者に読んでほしい事例です。値上げ後に売上が伸びたという逆説的な成果が、この事例の核心です。

いちご狩り+5%、フィナンシェ+12%、カステラ+10%という値上げを実施した後、「客足が絶えずむしろ売上が伸長した」という結果は、価格弾力性に関する重要な示唆を含んでいます。顧客は「価格」だけで購買を決めているのではなく、「その価格に見合う価値があるか」を判断しています。高付加価値商品の適正価格への是正は、顧客の離反を招くどころか、「正直な商売をしている」という信頼感を高めることがあります。

注目したいのは、値上げに先立ち「人時生産性の向上」という自社努力を徹底したことです。コスト削減の努力を尽くした上での値上げであることを、経営者自身が確信を持って語れることが、顧客への訴求力につながります。「やむを得ない値上げ」ではなく「事業を続けるための誠実な判断」として伝えることが、顧客の納得を引き出します。

この事例が示す本質的な教訓は、「自信のある商品に適正な利益をいただく」という経営姿勢そのものです。価格を下げて売り続けることは、事業者にとっても顧客にとっても、長期的には商品・サービスの質の低下という形で損失をもたらします。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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