農業・ブルーベリー栽培他 データ提示型 付加価値型 No.39

徹底した原価分析と付加価値向上で収益構造を改善

B社(ブルーベリー栽培他)

この事例のポイント

コスト上昇要因

その他

交渉手法

データ提示型・付加価値型

活用ツール・支援機関

栽培コスト細分化・メディア戦略・増税タイミング活用

定量的な成果

入園料大人+30%/小学生+50%/リピーター50%

原価計算体験価値ノウハウ収益化

出典より

経済産業省 中小企業庁「業種別 価格交渉・価格転嫁 成功事例集」 ↗

※ 本事例は出典をもとに編集・再構成しています。社名はイニシャル表記にしています。

当時の課題

  • 経営コスト増に加え市場価格の下落により収益確保が困難に。
  • 持続可能な事業運営のため原価算出に基づく抜本的な収益構造の見直しが不可欠。

取組概要

  • 徹底した原価計算と情報収集から始め、苗木1,000本の調達から水管理・肥料・防草シート・害虫駆除まで栽培コストを細分化して算出し目標の利益率達成に必要な価格を設定。
  • 近年の健康ブームを多角的に分析し論理的な根拠を整備。
  • 実行段階では摘み取り体験の入園料改定とともにブルーベリーバフェといった高単価商品の魅力をアピール。
  • 商品の付加価値を高めることで価格の正当性を訴求。
  • メディア露出を戦略的に行い地域におけるブランド力を強化。
  • 消費税増税という顧客の抵抗感が比較的少ない時機を選び段階的に価格を引き上げた。

成果概要

  • 10年間で入園料を大人1,500円から2,000円(約30%増)、小学生は1,000円から1,500円(約50%増)へと引き上げ。
  • 値上げ後も来訪者の約50%がリピーターとして定着しており顧客満足度の低下に直結しなかったことも成果。

副次効果

ブランド力強化・セミナー展開

森岡誠

森岡誠の解説

価格転嫁・価格交渉の専門家・経営アドバイザー

農業・農園体験事業で、市場価格の下落とコスト増という二重苦の中で収益構造の見直しを検討している経営者に、読んでほしい事例です。10年間で入園料を約30〜50%引き上げながらリピーター率50%を維持したという、長期的な価格転嫁の成功モデルです。

この事例の最も優れた点は、「消費税増税という顧客の抵抗感が比較的少ない時機を選び段階的に価格を引き上げた」という戦略的なタイミング設計です。消費税率の変更は社会全体の「価格変動が当然」という空気を生み出します。この機会を活用して自社の価格改定を「社会的な流れの一部」として位置付けることは、顧客の心理的抵抗を大幅に下げます。

注目したいのは、メディア露出によるブランド力強化という先行投資です。値上げの直前に、地域でのブランドを高めるための露出を戦略的に行いました。「このお店の価値は知っている」という認知が広がった後での価格改定は、初対面の顧客への値上げとは全く意味が異なります。ブランド認知が高まるほど、価格への許容度も高まります。

苗木1,000本の調達から水管理・肥料・防草シートまで、栽培コストを細分化して積み上げた原価計算の徹底ぶりも特筆すべき点です。「目標の利益率達成に必要な価格を設定する」という逆算的な思考が、10年間の段階的値上げを可能にした基盤となりました。

※ このコメントは森岡誠による独自の解釈・分析です。 著者について →

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